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所得税・住民税の特別減税
これらの控除の他に、平成8年も所得税と住民税の特別減税があります。
これは、平成6年から単年度ごとに法律で定められて実施されてきているものであり、今年度についても昨年と同じ規模、同じ方法で実施されますが、特別というとおり、極めて特例的な減税であり、課税システムのうえからはオマケ的なものですが、納税者にとっては歓迎すべき制度です。(平成9年は残念ながら特別減税はありません。)
特別減税の大まかな内容としては、図29のとおりですが、ただし所得税の特別減税でも、住宅ローン控除などの税額控除があれば、これを差し引いた後の所得税の額で、これらの税額控除により納める所得税がなくなるときは特別減税はありません。
また、住民税についても平成7年度分の所得に対して計算される配当控除などの税額控除後の所得割の額で、均等割の額は残念ながら特別控除の対象となりません。
特別減税の方法は、サラリーマンなどの給与所得者の場合には、まず夏期の特別減税として6月中の適当な時期に還付され、仕上げとして年末調整で比較精算をして特別現税込みで納税額の精算を完了させます。
住民税については、平成8年の6月分が天引きされず、7月〜平成9年5月の11か月分(11等分)で月々の給料から天引きされます。
一方、個人の事業経営者の場合には基本的に確定申告の際に特別減税が行われ、年金受給者の場合には源泉徴収段階で年金所得に対する特別減税を先取りできますので、確定申告では年金にかかる源泉所得税額を精算して、同時に特別現税額の方も精算することとなります。
住民税の特別減税は、平成8年6月の第1期分の通常の納付額から特別減税の全額が控除されていますので、既に減税は完了しています。
これらの特別減税は、平成8年度税制改正で特例として実施されたものですが、平成8年度税制改正ではこの他に、先に述べた消費税とともに、土地税制や金融税制などについても改正が行われましたので、参考までに簡単に述べておきます。
土地税制については、?個人が所有期間5年超の土地や建物を譲渡したときの「長期譲渡所得課税」の税率と、?法人が土地等を譲渡したときの「土地重課税」の制度と税率が、?「地価税が0.3%から0.15%となり基礎控除が減額、?「相続税」として相続開始前3年以内に取得した土地や建物についての所得価額課税の特例の廃止、が主な内容です。
また金融証券税制については、?株式等の譲渡にかかる「有価証券取引税」の第二種取引の税率が0.3%から0.21%に、?「株式譲渡益課税」の上場株式等の譲渡所得等の譲渡所得等の源泉分離課税を選択したみなし譲渡益率が、譲渡価格の5%から5.25%に、変更になりました。

 

 

 

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